クライアント
| 企業団体名 | 中央官庁 |
|---|---|
| 業種 | - |
| 従業員数 | 約4000名(本省) |
背景
不慣れな大規模国際会議の主催に、現場は混乱気味
- 沖縄において、北米、南米、各先進国の政府要人6000人による国際会議が行われた。この会議の開催国である日本の某省スタッフと現地スタッフとの協力により、当会議は実施された。
- 省スタッフはリーダーと臨時スタッフで約30人、現地のリーダーは約20人、臨時スタッフは約200名、総勢約250人がこの会議に当たった。しかし、メンバー全体の95%は、大規模な、しかもトップレベルの国際会議の主催者側であった経験はなかった。
- 本省スタッフのトップリーダーにもこのような会議を行った経験はなかった。また即応能力に乏しいタイプ(6)だったので、全体を見てその場で判断、指示する力が不足していた。また、全体の各シナリオを作成するリーダーの担当者は、集中力を欠くタイプ(7)であり、最後まで各シナリオは完成しなかった。そればかりか、会議2日目で熱を出し、寝込んでしまった。
各タイプについては「会社を強くするエニアグラムコーチングとは?」をご参照下さい
学習と活用
エニアグラムコーチングの知識をフル活用、適材適所の人員配置・自発的な行動を促すコーチング
学習者は、本省リーダーの一人の女性である。彼女はエニアグラムコーチングの知識を取得して2年目であり、普段の業務で意識して使用することはなかった。
司令塔もシナリオもないままに会議は始まった。その中でただ一人エニアグラムコーチングを学習した一人の女性が初顔合わせの現地スタッフに指示を出し始めた。
業務はソーシャルイベント、本会議、地方主催イベント、ワーキングディナーなど5日間の日程で行われる裏方である。まず彼女が行ったことは、ミッションを明確にしたことであった。当会議のミッションとは、まず会議の成功である。次に安全対策、そして出席者へのホスピタリティー、サービスの質である。特に一人の不手際により日本国家の国際的信頼を失うことが絶対あってはならないこと、一人ひとりが国の代表であると思って行動することをスタッフに強調した。
しかし、現地スタッフに掲げられたミッションを遂行するイメージはなく、当事者意識もまるでなかった。
そこで、この女性リーダーは本省のリーダーの各タイプを見分け、その特徴に従って現場の各部署にリーダーを張り付けた。例えば、親分肌のタイプ(8)には子分をつけ、勝ち負けのはっきりする業務、ホテルや業者との交渉の監督の仕事を与えた。また、再生能力の高いタイプ(6)の場合は、会議資料の作成などを女性リーダーがまず見本を見せ、同じ事を繰り返させ自信を持たせた後、自ら人にそれを伝える業務をさせた。効率の高いパフォーマンスを出すタイプ(3)はスピードが勝負の作業、机、椅子の配置換え、レストランの食事出しの監督(全食15回が同時に10数か所でサービスされるコントロールを行う)などをさせた、さらに、目立たないことで不満を持たないように、陽の当たる場所に途中で配置を変えた。
さらに女性リーダーは、各リーダー、スタッフに当事者意識を持たせるために、コーチングを行った。それは女性リーダーが質問を発し、その質問の答えを、各自に考えさせることであった。例えば、スタッフの数に不足はないか、資料はすべてそろっているか、全体をみる見取り図は手元にあり、スタッフに情報は共有されているか、などである。質問した後は、15分後に答えを持ってこいと言い、自分でチェックさせ、自ら不足を補わさせた。
中には「やっている目的が分からない」というスタッフもいた。その場合はヒントを与えた。例えば、地図を持って来させ、「要人をAからBに動かす理由は安全対策だが、その時あなたは何を持っている必要があるか」と聞く。その質問によって「自分はトランシーバーを持ち、そこに立って安全確認をした後、本部に連絡しなければならない役目である」と理解するのである。
やらなくてはならないことが山積であった。夜は12時から2時まで全体会議、2時から4時までは行動予定の変更を文書にする作業、その後自分の担当の業務を片づけると朝である。朝一番に、全員に当日のイベントスケジュールの全確認と各変更の連絡をしなければならない。動いている部署は、1分刻みにその後のスケジュールであるシナリオを作らせる。スピーチは10分刻みにシナリオを作らせる。時間が次々と迫ってくる。机、椅子の配置、要人の移動手段の確保、プレスの対応、空調、次会場の案内板の書き換え・・・全てを同時に廻すためには、当事者にティーチングしている時間はなく、全てコーチングでスタッフ本人に考えてもらい、自ら動いて貰う以外に方法は無い。スタッフは休みなく働き、緊張状態が続いた。
各タイプについては「会社を強くするエニアグラムコーチングとは?」をご参照下さい
効果
自信を持って働く、積極的なチームへと変貌
- 1日目は、自分が何をやらねばならないか、誰も分からず、全員が指示待ちだった。しかし、2日目は、本省の各リーダーをエニアグラムのタイプ別に貼り付け、コーチングで考えさせることで、徐々にそれぞれが動き始めた。さらに3日目は各リーダー、スタッフが自ら自分のポジションに必要な要素、問題点、不足を自分の作業として考え始めるようになり、本部には次々に良い成果報告が集まってきた。4日目は、あえて全部署のリーダーを交換した。それにより、各リーダーは次の担当に引き継ぎをしなければならなかった。この作業で、自分の役割ばかりではなく、より全体が理解できるようになり、さらに効率は高まった。
- 5日目は、地元沖縄の主催イベントの最終章である、さよならフェステバルであった。この段階になると、女性リーダーからの指示、コーチングがまったく必要無くなった。現地スタッフだけで全てを完了させた。自分から自発的に動きを伝えあい、お互いが教えあうようになった。一体感が高まり、協力的なチームになった。皆大きな達成感、喜びを得、当イベントは大成功を納めた。
下記は、エニアグラムコーチングを使ってこの国際会議を成功に導いた女性リーダーの言葉である。
「『ティーチングでは破たんする。コーチングで乗り切るしかない』そう頭を切り替えた途端に業務が廻り始めました。 それぞれが驚くほどの成果をあげ、生き生き働く姿に自分のほうが驚いたのです。5日間のイベントが終わる頃、初めての仕事に指示待ちであったスタッフは自分たちで自信を持って積極的に働く自立的なチームへと変貌していきました。その最後の皆の目の輝きにこの上ない感動を覚えました。
その後、私の取ったリーダーシップに対し『何の魔法だったのか』という声も頂きました。
もしエニアグラムコーチングを学んでいなければ、私は、その時、どうなっていたのか想像も出来ません。それまで学習をしてきた結果、このような素晴らしい経験が出来たことを心から感謝しています」









2007年12月号より
ビジネスデータ(日本実業出版)に「安村明史の絵解きマネジメント」が連載開始されました。